初心者が多肉植物を育てようとし、ネットで調べると簡単・手間いらずなどのワードが多数ヒットします。これはまったくの間違い。多肉の育成は知識が必要で大変難しいものです。
多肉の魅力でもある肉厚でぷりぷりギュウギュウに育てる為には条件をそろえて上げなければなりません。
その可愛らしいフォルムに魅せられ育ててみようと思うのならば、是非知ってもらいたい多肉の生態をご覧ください。
※ハオルチアの様に岩陰や木陰で育つ多肉植物はこの限りではございません。
多肉植物の生態
多肉植物の原産地はメキシコ、南アフリカ、東アフリカ、中米などが多く乾燥地帯に生息する植物です。
世界各地の気候を比較できるこちらのサイトWeather Sparkで、メキシコシティを例にあげ東京との気候の差を見てみましょう。
気温の比較
常夏のイメージが強いメキシコですが、実は年間を通して過ごしやすい気候。3℃未満または30℃を超える事は滅多にありません。
一日の気温差が毎月10℃以上あり温度差が大きく、年中を通して乾燥しており、日本の様に高温多湿で「蒸す」ことがありません。
多肉植物に春秋型と表現される物が多いのは、日本の気候で原産地に一番近い季節が春と秋だから。
降雨量の比較
降雨量は東京の3/5程度で乾季にはほとんど雨が降らないというのが特徴。
雨季に降る雨の降り方はスコールと呼ばれる集中的な降り方。日本で言うゲリラ豪雨です。
日照の比較
年間を通し、日本より太陽光が地表まで届く日照がかなり多いことが分かります。
この様な環境で自生する為に進化してきた多肉植物を、四季のある日本で育てようというのです。
近年では温暖化の影響により「酷暑日」という言葉が出来るほど日本の夏は過酷です。
観葉植物とは全くの別物
同じような南国育ちの植物に観葉植物が広く流通しています。
部屋にグリーンをと、インテリアとしての価値も高く室内で育てる事を想定として販売されている事でしょう。
現に我が家でも多数の観葉植物を室内で管理しています。(ポトス、パキラ、ガジュマル…etc)
中には耐陰性がある物も多く、窓辺の明かりだけでも十分に育つことが出来ます。
それに対し多肉植物は、健康な株へ育つために必要な光量が観葉植物の比ではありません。光量不足で起きるのが多肉愛好家達を悩ませる徒長です。
室内窓辺の日照時間
室内窓辺は日が差し込み明るいという認識では無いでしょうか。ほとんどの時間を日陰で過ごす人間にとってはその通り。
しかし、多肉植物にとっては暗い場所。東向きの窓や南向きの窓と向きで違いはあれど、窓辺に置いた植物にピンポイントで日が当たる時間はせいぜい2時間程度です。丁度その時間曇りなら尚更。
日の傾きに合わせて置き場所も移動させればもっと確保出来ますが現実的ではありません。
多肉の場合、最低でも1日4時間の日射しが望ましいなんて言われていますが、私はそれでも全然足りないと思っています。
原産地は日本より日照時間が長いのですから。
これらから、室内で多肉を健康に育てるのはかなり無理があると言えます。
多肉の育成を難しいと感じるあたりはここら辺。多肉=室内インテリアが成立しない為。
屋外ガーデニングの方がしっくりきます。
原産地の環境を再現する必要性
それでも育てたい!では、どうすれば?
それは、どこまで現地の環境を再現できるかです。
- 置き場所は屋外の日当たりが良い場所
- 風通しがよく蒸れない事
- 雨ざらしにならない事
大きくはこの3点。
日がよく当たればベランダでも構いません。問題は雨。屋根をかければ影になる、かけなければ雨に当たると、屋根付き多肉棚の様な専用の物が必要となります。
水やりは乾燥気味に管理し、可能な限り再現しましょう。
いかがでしょうか。観葉植物より知らなければうまく育てれない事が多いですよね。
真夏・真冬の管理
四季の有る日本で、原産地にはない真夏と真冬。これをいかにしのぐかが大切です。
日光が大好きな多肉でも日本の夏の日差しは強すぎて想定外のもの。さらに気温も40℃に迫る日も多く枯れてしまいます。
夏場は直射日光を避け、風通しの良い所で休ませましょう。8月は水も一切上げない休眠期。
冬場は凍れば大体どんな植物も枯れるでしょう。凍る程気温が下がらない場所で霜や寒風に当てない事。
となると…室内か?地域によっては徒長覚悟で室内管理しかないかもしれません。氷点下まで下がる日は室内へ。基本日中は外が望ましい。
日中仕事でそんなに管理できない場合も多い事でしょう。温度、霜、雪、寒風などの状況で判断して下さい。夏場と同じく休眠期となり断水。
美しい多肉植物
多肉植物を育てる場合の必要な知識を説明してきましたが、正しく管理すればとても美しい姿を見せてくれます。
普段から多肉に触れていると、世話をし過ぎるより放置していた方が綺麗になったりします。これは適切な場所(現地の環境に近い場所)で放置しているからです。
日本人から見れば特殊な環境で育つ植物なので、始めは失敗するかもしれません。失敗は成功の基、諦めずに育てて行けば色とりどりの多肉ライフが迎えてくれる事でしょう。
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