多肉にはまり数年、奥が深いです。
葉挿しや挿し木で増やす事にはある程度慣れて来たころ、興味が出てくるのが実生。めしべに花粉を付けて受粉させ種を取り、それを撒いて種から育ててみようというチャレンジです。
ベテランの多肉愛好家さん達は様々な品種を掛け合わせ、自分のオリジナル品種を育てて楽しんでいらっしゃいます。
エケベリアを中心に育てている訳ですが、ついつい葉挿しを取ったり胴切りをしたりと親株が大きく育たずコンパクトになりがちでした。
実生を意識しだして、大きく育てて花を咲かせてみようと思ったのが昨年です。
我が家のカワイイ代表、エケベリアの桃太郎がたくさん花を咲かせたので実生に挑戦した結果をまとめます。
今回、桃太郎で自家受粉(1つの株から咲く花を使い、花粉をめしべに受粉させる)をやるに当たり、事前に桃太郎は自家受粉するのか、そして出来た種から芽はでるのかを調べました。
情報量が少なく、「出来ない」と断言しているのが少数。出来る(成功例)は無しでのスタートです。情報量は少ないですが、これは難しそうですね。交配された品種では遺伝子情報に欠陥が生じ繁殖能力が無い場合があるようです。これは植物に限らず動物でも一緒。
植物の場合、交配種同士の交配も普通に行われるので動物よりは緩そうですが、桃太郎は難しそう。
では、自分で確かめて見ましょう。というまとめ。ちょうど桃太郎の花がたくさん咲いたのもありますけど…。
桃太郎の花芽
今回花を咲かせた桃太郎は2歳~3歳の株。
花芽を出し始めたのは2021年の1月、丁度お正月を過ぎた頃でした。
青森なので1月は非常に寒いです。1日中氷点下の真冬日連発&日によっては‐10℃を超えるような環境。ベランダを密閉した温室管理ですが、夜間はミッチリと冷えています。
12月には断水を開始していました。そんな状況にも関わらず花芽を出し始めた桃太郎さん。
寒すぎると紅葉を通り越し、すっかり色あせてしまいます。かろうじて爪先だけ赤色が残っている限界ギリギリ状態のはず。
他の多肉達は同じ環境で続々と脱落していく中、桃太郎は過酷な環境を乗り越え春を迎える事が出来ました。
断水しているし、生存しているのが不思議な程の寒さなので多肉は全く成長しません。それでも花芽だけはジワジワ伸びて行きます。この先春になるのが分かっているのでしょうか…。
そして暖かくなり始めた3月、一気にに花芽が伸びました。
桃太郎の開花から受粉
2021年、桜の開花は観測史上最速だったと記憶しています。(観測史上2番めかも?)
とにかく早かった。例年は4月末~5月初に咲くはずが4月の中には咲き始め4/20には満開。
それと時を同じく桃太郎も開花。
桃太郎が自家受粉できるかどうかは不確定の情報しかありません。
受粉のやり方を勉強しながら探り探り…。様子を観察しタイミングを伺います。
花が咲き始めた頃が花粉が多い時期、開花してから3日後くらいからめしべの先端が湿ってきて受粉可能な状態になるようです。
花はタイミングをずらしてたくさん咲くので、おしべの花粉とめしべの状況を観察しながら作業をしました。
花びらを剥がして花粉を採取した時の様子。エケベリアの花は花びらを剥がせばおしべが付いてきます。
花びらを全て外し、めしべをむき出しにして作業しやすいように&めしべの先端を確認していた時の様子。
おしべとめしべ、それぞれ状態の良い物を使い、めしべ先端の湿った部分にピンセットでおしべを摘まんで花粉をチョンチョンと付ければ受粉作業は終了。
簡単そうですが、花が咲くタイミングが違うので一気に全ての受粉作業が出来るわけではありません。何回かに分けて行う為、日々の観察は欠かせませんでした。
種の採取
ここら辺までの手順はおそらく合っています。受粉してめしべが膨らむので。
違う品種を交配する場合、同じ方法で大丈夫だと思います。
しかし、ここから手順が怪しいです。間違っていたらごめんなさい。
受粉後、1ヵ月くらいで種ができるらしい。めしべがカリカリに枯れてきて種が出来ています。放っておけばやがて弾けて飛び散るのでその前に収穫しなければなりません。タイミングが分からない。
分からないでは進まないから、一定の目安を設けました。花まで繋がっている茎が枯れたら採取しよう。
こんな状態になったら収穫していきました。画像中央は収穫、右側はまだ早い。みたいな独自の基準。
採取しためしべから直ぐに種を取り出さず、紙容器に一時保管。これからまだまだ順番に実っていくので、種は最後にまとめて取り出し、まとめて撒く予定。
そして受粉作業をした全ての花からめしべを回収できたのが6月初旬でした。
既に紙容器内で弾けて種が出てるのもあります。
相変わらず探り探りで種をすべて取り出します。
完熟していれば黒くなるという情報と黒いと発芽率が悪いという情報。ネットって様々です。
情報が正しかろうが誤っていようが、参考にしながらあとは自分でやってみるのが一番。
出来た種はこんな物でした。うまく種が取れていたとしたらとんでもない数です。
とても細かく細心の注意を払いながら扱わないと鼻息で吹き飛びます。
種を撒いてみよう
突き進むのみ。出来た種を撒いてみましょう。
種を採取するまで数か月の期間を要します。ここでやらなければ無駄に終わる。失敗を恐れず撒きましょう。
例の如く探り探り。初めてなので、なるべく万全にと良さげな土を買って来ました。「挿し芽・種まき専用培養土」
この土を6cmポットに入れ、電子レンジで「チン」して高温による殺菌消毒。
種まきに慣れた人たちはここまでやらないようですが、念には念を。失敗しても後悔しないように。
ホクホクで出てきた土は冷ますのに2時間くらいかかりました(笑)
いざ種まき。
細かすぎて均等にパラパラなど出来ません!可能な限りプルプルしながらチョンチョンしながら撒きました。
赤っぽいのが種です。
後は、室内の日陰で腰水を切らさない様に管理すれば発芽するそうですよ。
無念
結果から。種蒔き後1ヵ月。失敗に終わりました。無念。
左上の1ポットは桃太郎と同時期にローラの花が咲いたのでローラのめしべと桃太郎のおしべで交配してみた物です。しかし桃太郎の自家受粉に集中していたのでとても種を採取するまでが雑な管理でおまけ程度。これは上手く行かない心当たりがあるのでスルーして下さい。
それ以外の5ポットが桃太郎自家受粉の結果です。
白いカビが生えて失敗です。
まだ行けるのでは!?と期待もしましたがこれは出ないでしょう。
冒頭でも触れましたが、桃太郎自体が自家受粉しない可能性が高いです。
もし、桃太郎は自家受粉で増やせるよって成功している方がいらっしゃれば教えて下さい。
現状では失敗=自家受粉しないと判断しています。
最後に
桃太郎の自家受粉、失敗には終わりましたが受粉~種まきまでは経験する事が出来ました。
今は育てているお気に入りの品種が来年には花芽をつけれるように大きく育て、次は交配にチャレンジして見ようと思っています。
発芽してからも一人前に育てる為にまだまだコツが必要そうです。
でも、自分で交配してオリジナルの品種を作れれば楽しい事間違いありません。
多肉の育成は奥が深く、難しい。だから面白くて長く続けれるなんて誰かが言っていました。
本当にそうかもしれません。失敗もたくさんします。結果が出るまでに時間も必要です。だから上手く行った時の喜びも大きいのでしょう。
最後に今回がんばってくれた桃太郎、花を咲かせるとエネルギーをたくさん使い弱ってしまいます。
花芽3本も咲かせさせてしましましたが、今は元気に復活しています。
色もすっかりもどり7月なのに紅葉全開です。
きっと来年もたくさんの花を咲かせてくれる事でしょう。
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